出展者ご紹介:編集工房ノア+ぽかん編集室

毎年大阪から、味わい深い本や冊子を運んできてくださる「編集工房ノア+ぽかん編集室」。毎年、ブックフェスタ会場では、『ぽかん』を編集・発行しておられる真治さんが、ご自身の作った本はもちろん、ふだんから社主の涸沢さんと親しくされているという編集工房ノアの本も、にこやかに、そして深い思いをこめて販売しておられます。
また、毎年ブックフェスタに合わせて新しい冊子を作ってきてくださるのも、主催者にとっては嬉しく、ありがたいこと。「ことしはフランス装に挑戦しました」と事前に聞いてはいましたが、送ってくださった写真を拝見して、実物を手にとるのがとても楽しみになりました。
下手な前置きはこれくらいにして、真治さんからのメッセージと写真をお届けします。

ぽかん編集室は、かまくらブックフェスタにDIY的精神にあふれた別冊を用意していますが、今回も鋭意準備中です。
夏休みの絵日記、ならぬ夏休みの写真日記を作成しました。その名も『と、おもった日記』。
『ぽかん』本誌には、無名の書き手に加えて、山田稔、岩阪恵子、小沢信男など、文学好きなら、「お!」と驚くような方に書いていただいています。これまで作った別冊にも、1名はある程度名の知れた執筆者を混ぜていました。今回の別冊『と、おもった日記』は、無名の書き手で構成しました。5名が12日分、日記を書き、写真を添えました。それぞれが、旅をしたり、仕事をしたり、かき氷を食べたり、ビールを飲んだり、映画を見たり、本を読んだり。
しかし、果たして、どこの誰だかわかんない人の日記を読みたいひとなんているのかなとおもったりもしましたが、出来上がったのを読むと結構おもしろかったりします。
いろんな街に住むつながりのないひとたちの暮らしが1冊の冊子のなかでひとつの記憶になるような、不思議な感覚です。
そして、今回、造本はフランス装に挑戦しました。不器用なので苦しい作業が続きました。友人の営む雑貨店にフランス語で書かれた手紙がたくさん売られていて、それを表紙に使いました。なんて書いているのかわからないのですが、ラブレターであってほしいなとおもいつつ。

編集工房ノアの本は、山田稔天野忠の本はもちろん持っていきますが、今回のおすすめは北村順子『晩夏に』です。
今年のみすずの読書アンケート号で、山田稔さんも挙げていた1冊です。北村さんの文章は風通しがよく、心にしみこんできます。
この、すばらしい短編集を多くの方が読んでくださいますように。