出展者のご紹介/美術同人誌「四月と十月」について

四月と十月」は、画家の牧野伊三夫さんが発起人となり1999年に創刊し、年に2回、新学期が始まる四月と展覧会がはじまる季節の十月に刊行される美術同人誌。シンプルなデザインで、何度も開いてみたくなる美しい美術雑誌です。




最新号24号。表紙の作品は久家靖秀さん。



「四月と十月」の「アトリエから」ページ(14号)




6月に千駄木の古書ほうろうで行った〈「四月と十月」と「港の人」フェア〉での様子。本誌だけでなく様々な関連本が並んでいます。



「四月と十月」は年に2回、新年度がはじまる四月と展覧会の季節である十月に刊行される美術雑誌です。
参加する作家たちによって制作運営が行われています。誌画の作品をとおして率直に意見を交わし、日常的な制作活動を励ましあうことと、美術家をとりまく状況について研究をすることが目的です。
前半は参加作家がアトリエでの仕事を語る頁になっています。完成作品よりも、制作過程を大切にしたいという思いから、スケッチや習作などを中心に発表するようにしています。
表紙に「画家のノート」とあるのはそのためです。
また後半は、美術家の周囲にいる方々の連載記事や、希望者による部活動の記録、各々の展覧会の案内や報告を掲載しています。

「四月と十月」HPより

前半「アトリエから」では、同人がそれぞれ自分の作品と、仕事についてのちょっとしたエッセイとを掲載しています。同人には、牧野さんをはじめ、様々な画家やイラストレーター、写真家などがいる他、エッセイスト・小説家の石田千さんも23号から同人となり、絵を発表されています。

後半にある読み物ページもおすすめです。連載では、デザイナー・有山達也さんの「装幀の中の絵」や、「大衆食堂の詩人」こと遠藤哲夫さんの「理解フノー」、元「東京人」副編集長でさまざまな著作のある鈴木伸子さんの「東京風景」などがあり、他には、対談記事や書き下ろしエッセイなどが掲載されています。24号では、書肆くさびら堂主人の飯沢耕太郎さんと、写真集『きのこのほん』を刊行した写真家・鈴木安一郎さんとのきのこ談義も掲載されました。

実はこの「四月と十月」に連載された文章から、この春、〈四月と十月文庫〉シリーズもスタートしました。〈四月と十月文庫〉とは、「四月と十月」と出版社・港の人とで協力して刊行するシリーズ本。第1弾は、東京・武蔵小金井の人気古書店の店主・蝦名則によるエッセイ集『えびな書店店主の記』(6月刊行)。「四月と十月」での連載に加え、他誌やえびな書店の目録に掲載されたエッセイを集めた本です。第2弾は、画家/絵本作家・ミロコマチコの画文集『ホロホロチョウのよる』(9月中旬刊行)。本書は「四月と十月」に連載されていたものではなく、すべて書き下ろしの文章ばかりですが、ミロコさんは同人として「四月と十月」に参加されている新鋭画家です。今後は、写真家・堀内孝『マダガスカル紀行』、画家・牧野伊三夫『仕事場訪問』、デザイナー・有山達也『装幀の中の絵』などを予定しています。〈四月と十月文庫〉は港の人のブースで販売しますが、ぜひ本誌四月と十月」と一緒にご覧ください。

かまくらブックフェスタでは、在庫切れとなっているバックナンバーも古本として出品する他、「四月と十月」の最新号25号も発売予定とのこと。本来は10月1日刊行予定なので、ブックフェスタが先行発売となる予定です。また、詩画集等の同人の自主制作本なども販売します。発行人の牧野伊三夫さんは、昨年、作家桐野夏生さんの短編小説『ただセックスがしたいだけ』に自身で挿絵を手がけ自費出版をし、話題になりました。本書はすでに品切れとのことですが、牧野さんにはこうした自主制作本がたくさんあり、どれも手作り感のある、すてきな本ばかりです。ぜひブックフェスタで手にとってご覧になってください。

*大洋印刷さんのブログでも「四月と十月」について詳しく紹介されています(記事はこちら

「四月と十月」HP