第6回かまくらブックフェスタ、無事終了しました。

ふだんさまざまなイベントでもご一緒させていただいている版元のみなさん、京都や大阪、さらには、博多から、大切な本や冊子とともに参加くださったみなさんのご協力を得て、ブックフェスタ、今年も無事に終えることができました。
秋の長雨が続くなかでの開催でしたが、例年に負けないほど多くの来場者をお迎えすることができました。お客さまにはご不自由をおかけしましたが、会場となった「garden & spaceくるくる」では、窓の向こうにしっとり雨にぬれた庭の草木が見えて、いかにも本に似つかわしい風景でした。
毎年この会場で会うのが恒例となっている方々、初めて訪れてくださった方々、会場のあちらこちらで楽しげな本談義が続いているのを見ると、今年も開催できたことの喜びがわいてきます。
1日目のトークイベントは、西日本新聞社出版部の末崎光裕さんと忘羊社の藤村興晴さんの対談。出版流通の現場の声、版元の抱える悩みなどを率直に話してくださいました。とは言っても、決して暗く深刻ぶった雰囲気にならないのは、おふたりの持ち味。九州で始まった、新しい出版流通のシステムを作る試みを、ずっと応援していきたいと思います。そして、本は、たんなる商品ではなく、人と人を結びつけ、人の心や社会のあり方も変えていくような可能性を秘めた存在であり、そのことを決して軽んじてはならないと改めて思いました。
2日目は、平出隆さん、郡淳一郎さん、扉野良人さんの鼎談。お三方とも、口調は静かでしたが、ひと言ひと言を、これ以上ないくらい大切に語ってくださいました。冒頭で平出さんは、via wwalnutsを立ち上げたとき、手紙のような本という造本を実現するために費やした時間を「命がけの設計だった」と表現なさっていました。ふだん穏やかな平出さんが口にされたこの言葉の激しさと重さを、改めて思います。書物とは、それほど真剣に向き合うべきものなのだと、ご自身の人生をかけて教えてくださっているように思いました。会場の席に回された、お三方の蔵書を手にとっておられる聴衆の皆さんの、書物を慈しむような横顔も強く印象に残っています。

ご来場いただいた皆さま、ほんとうにありがとうございました。




1日目トークイベント「本屋がなくなったら、困るじゃないか」


2日目トークイベント前、打ち合わせ中の平出隆さんと扉野良人さん